白内障手術
白内障手術
眼球にはカメラのレンズのような水晶体があります。この水晶体の中のタンパク質が様々な原因によって白く変性し、濁って見えるようになる状態が白内障です。最も多い原因は加齢によるもので、年齢を重ねるほど発症しやすく、50歳を過ぎた頃から少しずつ水晶体が濁り始め、70代以降の高齢の方ではその大半に白内障の症状がみられます。一方、年齢にかかわらず発症する若年性白内障は、眼内に炎症が生じるぶどう膜炎や、糖尿病、アトピー性皮膚炎、高度近視などと合併して起こります。このほか、生まれつき水晶体に濁りがある先天性、けがや衝撃による外傷性、網膜剥離などほかの目の病気に続いて起こる白内障もあります。
白内障で水晶体が濁り始めると、光が散乱するため、目がかすんだり、物が二重に見えたり(単眼複視)、明るいところでまぶしく感じる(羞明)などの症状が現れます。進行すると視力が低下し、眼鏡を掛けても物が見えにくくなります。
白内障は薬で治ることはなく、良くするには手術が必要になります。通常、当院では片目ずつ手術を行いますが、両眼同時手術も可能です。
手術の方法としては、水晶体を包む袋を残して濁った水晶体を摘出し、その代わりに袋の中に眼内レンズに入れる方法で行います。
手術は100%確実なものとはいえず、約0.5%で合併症が起こることがあり、場合により視力が下がることがありえます。チン氏帯脆弱などにより硝子体手術が必要になることがあります。
視力に影響を及ぼす合併症として、眼内炎(2000例に1例)、駆逐性出血(20000例に1例)、水疱性角膜症などがあります。また後嚢破損、水晶体核落下、度数ずれなどがあります。
手術は局所麻酔で行い、所要時間は約4分~7分程度ですが、濁りの程度、眼の形、大きさによって異なります。
駆逐性出血とは眼内に大出血をおこすもので、この場合は速やかに創を閉鎖し手術を終了します。眼内炎とは、眼内に細菌感染が生じることでこの場合前房洗浄、硝子体手術が必要になります。眼内レンズを縫着あるいは強膜内固定する場合、2回以上に分けて手術を行う場合があります。
手術前に診察させていただきます。白内障手術および手術に向けての準備、生活の注意点などを説明いたします。その際、手術同意書をお渡しします。手術前の制限はとくにありません。運動・食事・入浴など普段通りにお過ごしください。
手術後は入浴や洗髪の制限があります。前日のうちにゆっくりと入浴(洗髪)されることをおすすめします。
手術の準備では目の周りも消毒しますので、あらかじめきれいに洗顔しておいてください。
消毒液などで衣服が汚れてしまうことがあるため、濡れても良い普段着でお越しください。また、手術後は眼帯をしたまま着替えていただくため、前開きの衣服が便利です。
普段通りの食事で、服用中のお薬も飲んでいただけます。
手術後は眼帯を装着しますので、乗り物の運転は非常に危険です。手術当日は自動車やバイク、自転車での来院は控えてください。また、なるべく、お一人ではなく付き添いの方とご一緒に来院するようにしてください。当院では手術日の帰りと翌日診察来院時のタクシー代を片道1,500円(2回の乗車、合計3,000円まで)まで負担いたします。
1
ご来院
・所定の時刻までにお越しいただき、受付を済ませてください
・入れ歯、差し歯を装着している場合は外してください
・必ずトイレは済ませてください
2
手術
・手術は椅子を倒して、仰向けで行います
・目の周りにきれいな布を被せます(お顔は触らないでください)
・消毒を行い手術開始です(白内障の進行具合や目の状態によりますが、手術自体の所要時間は4-7分程度です)
・お困りのことがありましたら急に動かずに、声に出して教えてください
3
休憩
・15分ほど休憩していただき、体調などを確認します。異常がなければ帰宅していただけます
眼内炎予防のための目薬を処方します。決められた回数の点眼を必ず継続してください(術後炎症によりますが約1ヶ月継続していただきます)。
手術跡からバイ菌が入ることを防ぐために、清潔を保つようにしてください。目を強く押さえつけたり、こすったりしないように気をつけてください。
手術後、3日間(手術当日を含む)は洗顔や入浴、洗髪を控えてください。手術の翌日から首から下のシャワーのみ可能ですが、顔を濡らさないように注意してください。術後3日目の朝からはいつも通りに洗顔や入浴をしていただけます。
目に刺激となることがありますので、3日間(手術当日を含む)は飲酒を控えてください。再開時期は診察時に確認してください。
車やバイク、自転車の運転は、1週間は控えてください。見え方が安定すれば、運転は可能ですが、再開時期は診察時に確認してください。
ウォーキングなどの軽い運動や日常での家事、デスクワークであれば手術の翌日から可能です。汗をかくような運動、重いものを持つなど重労働は、手術後2週間は控えてください。運動の再開時期は内容によって異なりますので、診察時に確認してください。